【スクワットで膝痛改善!】理学療法士が解説する4種類のスクワット

トレーニング

膝が痛くて困った経験はないですか?

  • 「立ち上がるときに膝が痛い」
  • 「膝が痛くて正座できない」
  • 「家事をするのが重労働」
  • 「好きだったスポーツができなくなった」

上記のように膝が痛いとできないことが増えます。そして、気分も落ち込みやすいです。膝痛改善には筋肉を鍛え、筋肉の使い方を改善することが大事です。筋肉を鍛えることで、膝への過剰な負担を軽減できます。

上記のことを達成するために、今回は「スクワットで膝痛を改善する方法」を解説します。

脚の筋肉の中で、太ももとお尻の筋肉は大部分を占めています。

筋断面積は筋力に影響します。そのため、大きい筋肉を鍛えることが筋力アップでは重要です。スクワットで鍛えられる部位は「大腿四頭筋」「大殿筋」がメインになります。

上記の筋肉は、膝や股関節の安定性向上のために欠かせません。つまり、大腿四頭筋や大殿筋の筋力低下は、膝や股関節の不安定につながりやすいです。不安定さが、関節への過剰負荷につながり痛みを発生する可能性があります。」

以下に、大腿四頭筋と大殿筋を鍛えるためのスクワットのやり方を解説していきます。

スクワットのバリエーション(難易度別に4種類)

「スクワット」と一言でいってもさまざまなバリエーションがあります。

今回は、難易度別に4種類のスクワットを紹介します。

  • 簡単:スクワットが初めてでも簡単にできる。
  • 普通:動作で少しコツがいる
  • 難しい:簡単に見えて意外と難しい
  • かなり難しい:動作のコントロールとある程度の筋力が必要

上記のようなレベルをイメージしています。

簡単:座るだけスクワット

椅子を使ってスクワットをしている人のイラスト

椅子に浅く座る動作を行います。ただ、座るだけでは意味がないため3つのポイントを意識します。

  1. 目線はまっすぐ前を見る
  2. お尻の穴を座面に付ける
  3. お尻は座面に触れる程度で切り返す

ポイント1:目線はまっすぐ前を見る

前を見ることで背中が曲がることを防ぎます背中が曲がると骨盤も一緒に後ろに傾いてしまいます(骨盤後傾)。すると、お尻の筋肉が力を発揮しにくい状態になります。この状態で行っても、お尻はあまり鍛えられません。また、腰への負担が増加ます。

上記のことから、目線はまっすぐ前を見ることを意識しましょう。

上記の画像は、「長さー張力曲線」のグラフです。筋肉の長さと張力の関係を示したものです。前述した”お尻の筋肉が力を発揮しにくい状態~”はコチラが関係ます。

「長さー張力曲線」について詳しく解説している記事はコチラ

ポイント2:お尻の穴を座面に付ける

お尻の穴を座面に近づける」意識を持つことで、骨盤は前傾方向に傾きます。前傾することでお尻の筋肉を伸張させたまま動作を行えます。これもポイント1と同様に、背中を丸めないための意識です。

股関節周囲の筋肉がカチカチだと背中が丸くなりやすいです。その場合は、股関節のストレッチを事前に行いましょう。(股関節のストレッチは記事の最後に書いてあります。)

こ「股関節のストレッチ」をもっと詳しく知りたい方はコチラ

ポイント3:お尻は座面に触れる程度で切り返す

お尻は座面に触れる程度で切り返す」意識で反動を使った動作を無くします。反動を使うことは日常の中では問題ありません。しかし、今回はスクワットのトレーニングとして筋肉を鍛えることが目的です。そのため、反動を無くした方が筋肉に負荷がかかりやすくなります。

結果的に、太ももやお尻の筋肉を鍛えることにつながります。

普通:ウォールスクワット

<やり方>

  1. バランスボールを背中と壁の間に挟みます。(バランスボールなしでも可)
  2. 膝が90ぐらいになるまで腰を落とします。
  3. 地面を押して立ち上がります。

バランスボールを用いることでやや不安定になるので、身体をしっかりコントロールしましょう。特に大腿四頭筋に効きやすい運動です。

ポイント1:体幹は壁と平行

体幹は壁と平行を保ちます。バランスボールを用いて行う場合、体幹が前傾することがあります。そして、バランスボールが背中からお尻の方までずり落ちてきます。その結果、大腿四頭筋へかかる負荷が減り、筋トレとしての強度が下がります。

そうならないように「体幹は壁と平行」を保ちましょう。

ポイント2:動作はゆっくりと正確に行う

動作はゆっくり正確に」行います。なぜなら、早く行うと動作が崩れて目的の筋肉を鍛えづらくなるからです。不安定な状態で動作をコントロールするといろいろな筋肉が瞬時に働きます。そのため、筋肉が協調して力を発揮する能力も鍛えられます。

難しい:スクワット

<やり方>

  1. つま先を45°外側に向けて立った状態でくるぶしの下あたりに体重が乗っているのを意識
  2. 体重が乗っている位置を変えずにしゃがみます。
  3. しゃがむときは膝とつま先の向きを揃えます
  4. 目線は前を見て背中が曲がらないように注意。
  5. 背中が曲がらずにしゃがめる所まで腰を落として立ち上がります。
  6. 立ち上がる時は地面を「押す」イメージです。

やり方で説明したポイントを2つピックアップして解説します。

ポイント1:くるぶしの下に体重を乗せる

くるぶしの下に体重を乗せる」ことを意識します。なぜくるぶしかというと「地面を押す」イメージがしやすいからです。試しに、つま先や踵に倒れるギリギリまで体重を乗せてスクワットをしてみてください。バランスをとるのが難しいと思います。

踝は足関節のほぼ真下にあり、踝への意識は安定性を保ちやすくなります。ちょうど上記の画像の位置です。

このような意識で、地面を真下に押す準備を整えます。

ポイント2:膝とつま先の向きをそろえる

膝とつま先の向きをそろえる」ことを意識します。膝とつま先の向きがそろっていないと、膝や足首には捻じれの負荷がかかる形になります。関節に余計な負担をかけないために気を付けましょう。

特に女性では、膝が内側に入るりやすいので注意しましょう。膝が内側に入ると、膝痛につながってしまいます。(どうして女性は膝が内側に入りやすいの?→コチラ)

かなり難しい:ブルガリアンスクワット

  1. 片脚をボックスに乗せます。
  2. 前脚の踵に体重を乗せながら腰を下ろしていきます。
  3. 膝とつま先の向きは揃えたままです。
  4. 膝が90°ぐらい曲がったら立ち上がります。

ブルガリアンスクワットは「バランス」を取ることかなり難しいです。片脚でバランスを取りながら動作をコントロールする必要があります。そのため、脚の筋肉は動作をコントロールするためにより使われます。

ブルガリアンスクワットもスクワットと同様に

  • 膝とつま先の向きをそろえる
  • 踝の下で押す(踵寄りになってもよい)

を意識しましょう。

スクワットすると膝が痛いからできない

スクワットをすると膝が痛いからできない時、まずは何をしたら痛いか分類しましょう。

簡単に確認する方法は

  • 椅子に座って膝を伸ばす運動
  • 浅いスクワット

この2つの運動を行います。そうすると、

  • 膝に体重がかからなければ痛くない
  • 膝を曲げる角度によっては痛くない

上記のように荷重量」や「角度を変えることで痛みが変わりますします。

膝に体重がかからなければ痛くない→「体重がかからない運動」

膝を曲げる角度によっては痛くない→「膝の角度を調節した運動」

と運動のやり方が変わります。

次の項目では、「膝に体重がかからない運動」「膝への負担が少ない運動」をご紹介します。

膝への負担が少ない運動

膝に体重がかからない運動は、身体の末端の足部が自由に動く運動はOKC(open kinetic chain)と言います。逆に、スクワットのように末端の足部が固定された状態の運動はCKC(closed kinetic chain)と言います。(OKCとCKCについての詳しい記事はコチラ)

膝関節のOKCの運動を3つ紹介します。

  • パテラセッティング
  • おもりを付けてひざを伸ばす運動
  • SLR

上記の3つは、リハビリテーションの中でもよく用いられる運動です。

パテラセッティング

<やり方>

  1. 床に脚を伸ばしで座ります。
  2. 膝の裏に柔らかいボールかタオルを丸めて入れます。
  3. ボールを「押しつぶすように」力を入れます。

押しつぶす感覚をつかむのは、最初は難しいでしょう。繰り返しやっているうちに慣れていきます。しっかりできているか確認する方法は、内側広筋を触れるとわかります(以下の画像)。押しつぶしたときに、内側広筋に力が入っていればよいです。

おもりを付けてひざを伸ばす運動

<やり方>

  1. 背もたれがない椅子に座って足首におもりを巻きます。
  2. 伸ばせる限界まで膝を伸ばします。

背もたれがない椅子を使用するのは、上半身が後ろに倒れたり背中が丸まらないように注意するためです。大腿四頭筋をしっかり使うために、膝は限界まで伸ばしましょう。

高齢の方では膝の動きは良くても、最後まで伸ばす力がなくて伸び切らない方が意外と多いです。

SLR(下肢伸展挙上)

<やり方>

  1. 床に仰向けで寝転びます。
  2. 片脚を膝を伸ばしたまま上げます。
  3. 背中が丸くならない位置まで上げましょう。
  4. 限界まで上げたら下ろす

しっかり膝を伸ばした状態で脚を上げます。すると、ハムストリングスが伸ばされる感覚があるはずです。その感覚を感じられれば大丈夫です。

膝痛軽減のストレッチを3種類紹介

いきなり運動はハードル高い方は、ストレッチから始めてみましょう。ストレッチでは、理学療法士としての経験から痛みの訴えが多かった筋肉3つを中心に紹介します。

  • 内転筋
  • 腸脛靭帯
  • 膝蓋骨周囲

この3つの部位に痛みを訴える方が多い印象でした。

1.内転筋群のストレッチ

内転筋と一言に言ってもいろんな筋肉が含まれます。中でも痛みに関連しやすい筋肉に着目します。

膝下の内側に「鷲足」という場所があり、内転筋群が付着しています。鷲足に付着する内転筋群は、薄筋、半腱様筋、縫工筋の3つが含まれます。以下に、この3つの筋肉に対するストレッチを紹介します。

薄筋のストレッチ

<やり方>

  1. 片足を膝を伸ばして外に開きます
  2. 脚を徐々に外へ伸ばし太もも内側を伸ばします

半腱様筋のストレッチ

<やり方>

  1. 脚を前方に伸ばし踵を付けます
  2. 股間節を曲げていき太もも裏を伸張させます
  3. つま先を外側に向けることでより伸張されます

膝はできるだけ伸ばし、つま先をしっかり上に向けます。その状態で、身体を倒していくと太ももの裏が良く伸びます。

縫工筋のストレッチ

<やり方>

  1. 片足を着いて後脚を軽度伸展位に保持します。
  2. 足首をもってお尻の方に近づけます。

このストレッチは大腿直筋も伸張されます。踵がお尻に付くぐらい柔らかくなると良いです。

2.腸脛靭帯のストレッチ

<やり方>

  1. ストレッチしたい方の太ももの外側を床につけて脚を伸ばします。
  2. 上半身を脚側へ傾けていくとお尻の横が伸びている感覚が出てきます。

痛みは腸脛靭帯に出現しやすいですが、腸脛靭帯は名前の通り靭帯のような性質があります。そのため、ストレッチしようとしてもほとんど伸びません。実際に伸びるのは「大腿筋膜張筋」になります。

3.膝蓋骨周囲のモビライゼーション

<やり方>

  1. 床に座って脚を伸ばし脱力
  2. 膝蓋骨を前後左右に指で動かす。

膝蓋骨は周囲組織の柔軟性が保たれていると、少し動かせます。また、膝の運動時には膝蓋骨(膝のお皿)の動きが大事です。膝蓋骨の動きが出ないと膝は動きにくく、痛みの発生にもつながります。

高齢の方や膝の手術後の方では、膝蓋骨周囲が硬く痛みが出現する場合もあります。そのような方に対して、リハビリでは膝蓋骨のモビライゼーションを行います。

(膝蓋骨周囲の組織についてもっと知りたい方はコチラ)

股関節の安定性向上のためのストレッチ

股関節周囲の柔軟性が低下すると、膝関節や足関節への負担が増加します。そのため、股関節を柔軟に保っておくことは膝痛予防のために重要です。

股関節のストレッチはいろいろありますが、今回は1つだけご紹介します。

(股関節のストレッチをもっと詳しく知りたい方はコチラ)

股関節のストレッチ

<やり方>

  1. 画像のような姿勢を取ります。
  2. 上半身を前方へ近づける

このようにするとお尻の筋肉がストレッチされます。

今回はスクワットからストレッチまで解説しました。一時的に痛みが改善したが、また同じところが痛くなる場合、普段のくせや生活動作が痛みの原因となっているかもしれません。原因を解決しなければ、再び痛みが発生する可能性があるため原因を突き止めてみましょう。

痛みの原因についてはコチラの記事で詳しく解説しています↓

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